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鍼灸師の皆さんへ

戸部久子
 

 ご無沙汰しております。戸部久子です。日頃より安心安全な妊婦施術にご理解・ご協力を頂き、ありがとうございます。
 
 昨年よりコロナウィルスの影響で、安産灸ネットワークによる「妊婦・産科」の勉強会や講習会が中止や見送りになっております。
 
 鍼灸師の皆さんから「勉強会はないのですか?」「臨床や妊婦施術についてもう少し学びたい」「施術を見学したい」などのお声を頂いております。
 
 今、私に出来る事は日々の妊婦施術についていくつか症例をご紹介する事くらいですが、参考にして頂ければと思います。
 
 プライバシー保護のため、個人に繋がる情報は最小限にしている点はご了承下さい。

 

 

★予定日超過の施術について
 

2021年5月 戸部久子

 
妊娠経過の把握

  • 現状:腹部エコー、膣エコー、NST、内診初見(児頭の位置、子宮口開大の有無)など
  • 産院の出産についての考え
  • 産院からの生活指導

しっかり聞き取りをした上で対応する。
 
施術

  • 三陰交の多壮灸、補のお灸。
    • 妊婦の陰経を瀉す事は絶対避ける
  • 自宅施灸の指導。

 
生活の見直し
衣食住。

食事

尿蛋白、貧血、血圧、減塩の必要あり・なしを確認

運動

児頭の下降を目的とした有酸素運動と、骨盤周囲の筋肉のストレッチ

妊婦の心身に応じて指導する。
 
症例紹介
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【状況】
2月〇日 初回。
37才、第3子、40週+3日。
自然分娩予定のため、40週のうちに有効陣痛が来なければ入院。
第1子は9才、第2子は6才。第2子は誘発促進での出産をしている。
当日行ったDrの内診初見
・児頭は高い。
・子宮口は指1本分開いている。
母子手帳
・体重の増加12kg
・今日の血圧139/89
 
【施術】
三陰交施灸。自宅施灸の指導。
 
【生活養生アドバイス】

食の見直し

妊婦のバランスの取れた食事について(減塩)。

運動

有酸素運動と骨盤周囲のストレッチ(血圧が高めなので病院の許可をもらった)。

その他

入浴。ホットタオル活用。

  
【出産状況】
41週と1日。
男の子出産。3700g。
分娩所要時間:2時間45分。

  

★戻っていない「逆子」について

2021年5月 戸部久子

 
2021年1月5日~2月28日までに「逆子」で相談のあった12名のうち4名が戻っていません。
 
◎前回紹介した逆子のその後
このページ内にカルテNo付きで掲載中
 

カルテNo6

逆子は戻らず、切迫早産の危険もありましたが、38週までお腹の中にいてくれた事に感謝していますと連絡がありました。帝王切開で出産。38週で2800gまで育っていました。

Drより、逆子の原因の一つとして、26週からのお腹の張りが考えられると言われた。

カルテNo12

39週と2日、経膣分娩で出産されました。

 
症例紹介
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【状況】
初産、34才、31週。
産休に入っている。
逆子は28週から。
 
【施術】
31週と34週の2回施術
 
【34週時のエコーに立ち会う】
胎位胎向:第1骨盤位
胎盤:右上部後壁
羊水:普通量
臍帯:臍帯巻絡は不明。
胎児の顔は前向き、背骨は子宮の中央、足先は子宮口に向いている、と言われた。
 

カルテNo8逆子のエコー

 
【36週】
産院のエコーにて、胎児の背中が左向きになり、足先は子宮口に向けたまま(骨盤位)変わらずと言われ、右回転させる寝方の指導があった。
 
【出産】
37週と4日で帝王切開にて出産。
母子ともに元気ですと連絡あり。
Drより、逆子の原因は分からず、その位置が居心地良かったのでは…と言われた。

【状況】
経産婦、32才。
 
【施術】
34週と36週の2回施術
 
【経過】
胎位胎向:第1骨盤位
胎盤:子宮上部
産院で34週と36週に簡易式の外回転術を行ったが、頭が動かなかった。
 

カルテNo13の逆子のエコー

 
【出産】
37週と5日で帝王切開にて出産。
無事生まれましたと連絡あり。
胎児の首に臍帯巻絡(頸部に2回)。
Drから逆子の原因の一つかもと言われた旨の連絡がありました。

【状況】
初産、32才。
胎位胎向:第1単殿位、手足が顔の前。
胎盤:前壁の中央。
臍帯巻絡は不明。
羊水が少ない、お腹の張り、骨盤の奥行が浅い、と言われた。
 

カルテNo20の逆子のエコー

 
【施術】
32週と34週の2回施術
 
【出産】
胎児の体重が2500g以上なってから帝王切開にて出産予定(4月〇日、38週と5日)。

  ★西新井治療センターの逆子矯正率

ここ数年は65~70%くらいです。
施術回数を増やしたり、至陰の壮数を増やしたりしても変わりませんでした。
 
 
★生活と養生について
衣・食・住(生活)は基本的な妊婦さんの生活を知っておく事。

  • 母子手帳に記載されているもの
  • 保健所や産院などで配布されているもの(副読本・お産のしおり等)

を参考にしています。
鍼灸の効果を高める上で必要だと思います。
 

衣類

妊婦さんの場合、冷えに注意。

季節を問わず「通常より下半身は一枚多く」を基本とします。

食事

バランスの取れた食事と貧血対策、減塩。

運動

出産前、37週あたりより出産に向けて有酸素運動と下半身のストレッチを中心に、妊婦さんに合わせた運動をアドバイスしています。

産院からの指導を優先
 


 
 

  

★安産灸の施術について

2021年4月 戸部久子

 
 安産灸を希望される妊婦さんは、妊娠週数(16週~40週)や、初産・経産婦と様々ですが、「元気な赤ちゃんを生みたい♡」「妊娠中を無事に過ごしたい」「楽なお産をしたい」など、思いも人それぞれです。
 
 これに対応する為には、しっかりとした産科の知識と、妊婦さんが抱えている不安や心配事などへの心配りも必要となります。
 
 ご自身の体験や妊婦さん達から学んだこと等、経験と多くの知識が必要となります。
 慌てず、ゆっくりと妊婦さんに寄り添って下さい。
 
 今回は「安産灸」の症例です。
 
症例紹介
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【状況】
1月〇日 初回。
30才、初産、35週。
家族の都合で、39週中に出産がしたい。安産教室もお願いしたいと来院。
母子手帳は問題なし。
 
【施術】
三陰交。自宅施灸の指導。
 
【生活養生アドバイス】
いいお産をするための衣食住について、特に里帰り中とのことで、食事についてはしっかり指導(体重・減塩・貧血)。
 
37週に入ってから再度、来院予定。


【2回目】
1月〇日 37週と3日。
妊婦健診では「胎重2500g以上ある」「子宮口閉」とのことで、運動はしてよい。しっかり歩いてと言われた。
 
【施術】
三陰交の多壮灸(妊娠週数÷2=17壮、米粒大、補の灸)。
自宅施灸の見直し。
 
【生活養生アドバイス】

  • 里帰りなので、妊婦食を食べ、しっかり体を動かす。
  • 下半身の保温(カイロ・ホットタオルなど)。
  • 骨盤まわりの筋肉・じん帯のストレッチと有酸素運動など出産準備の身体作り。
  • お産の始まりについて。

産院への移動についてなど確認
 
【出産状況】
38週と6日。
女の子出産。3300g。
分娩所要時間:7時間。

【状況】
1月〇日 初回。
28才、初産、18週。
実母が安産灸をしていたので、自分もやってみたいと来院。
助産所での自然分娩を希望している。
 
【施術】
三陰交。自宅施灸の指導。
 
【生活養生アドバイス】
いいお産をするためのセルフケア―(衣食住)について。


【2回目】
2月〇日 24週。
体調は良い。体重のコントロールが大変だと…。
 
【施術】
穴の見直し。
 
【生活養生アドバイス】
衣:保温を心がける
食:くだものは控えめに!!


【3回目】
3月〇日 29週。
頭位。体重8kg増で助産師さんからも指導を受けている。
 
【施術】
穴の見直し。
 
【生活養生アドバイス】
食事の見直し。
現在、胎重1000g。
今後少なく見積もっても羊水・胎盤・胎重、合わせて2500gは増える事を知ってもらい、食の見直しの意味をしっかり理解して頂くためのアドバイス等。

 

 2021年1月5日~2月28日までの症例をいくつかまとめてみました。この期間に施術した妊婦さんは22人です。内訳は、安産灸9人、つわり2人、逆子12人(3/6時点で8名戻っています)

  2021年3月 戸部久子
 

★つわりの施術について
妊娠悪阻とは…を再確認してください。
「つわり」の施術には以下が重要。
・医療機関で胎児心拍の確認が取れている事
・出血していない事
気力・体力の低下時のドーゼは最小限に。
 
症例紹介
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来院前にTELにて簡単な聞き取りを行った後、来院して頂いた。
 
【症状】
胃が重い、気持ちが悪い、食べ物のにおいが気になる。
 
【状況】
妊娠11週、第3子
つわりは第1子の時は重症、第2子は中程度だったとのこと。
つわりで2週間入院。体重4~5kg減。来週より仕事を再開する予定。
気力・体力ともに虚と見える。
飲んでいる薬:プリンペラン
 
【施術】
右内関・左陽池、自宅施灸の練習。自宅で朝・夕の施灸を行ってもらう。
 
【生活養生アドバイス】
背部の温あん法、穴押し。職場でも出来る方法をアドバイス。
医療関係者の方なので、「つわり」についてしっかり理解されていたため説明は省略。
仕事中は内関と陽池の穴押しでしのいでもらい、自宅施灸をやってもらう。

事前にメールを頂き、TELにて簡単な聞き取りを行った後、出張施術。
 
【症状】
妊娠初期より唾が絶えず出る。
 
【状況】
妊娠20週、第1子
体重が6kg減。
気力・体力が落ちているので、外出できない。口をすすぐために1日の大半を洗面所で過ごしている。飲食は少しずつ出来てはいるが吐いてしまう。胃もたれもある。
 
【施術】
右内関・三陰交の施灸の練習。背部の温あん法。
 
【生活養生アドバイス】

  1. 食事は吐いてもいいので、なるべく温かい柔らかいもの。そろそろ胎児の栄養も考え、野菜・魚などを煮込んだものを少しずつ食べる。「まごわやさしい」を参考に。
  2. なるべく暖かい部屋で、口をすすぐ事が出来るよう工夫する。

 
【経過】
2週間後に電話。妊娠22週に入る。
「随分、楽になった。唾も吐くのではなく、飲み込めるようになり、食事も色々なものを食べられるようになった。少しの外出もできるようになった。引き続き、お灸は続ける」とのこと。
 
【所感】
元気な声を聞けて、ちょっとホッとしています。出張施術前、洗面所に椅子を持ち込んで10~13時間も耐えていたと聞いた時は胸が痛みました。早く日常生活を送れるようになればいいですね。


 

★逆子の施術について
以下をふまえて施術する方が効果が出ています。
 
これまでの経験から「妊婦健診」の後日の方が良いように思います。
妊娠30週までは、三陰交の自宅施灸と生活指導のみ。
張りが強く、25週より張り止め・安静の指示が出ている場合、逆子を戻すことより胎児が子宮の中で育ってくれる方を優先とした指導をします。
産院などで妊婦さんに確認して頂く事(胎位・胎向・臍帯巻絡・胎盤の位置・羊水量など)
 
症例紹介
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【状況】
1月〇日 初回。
年齢30才、第4子、妊娠28週。
 
【施術】
三陰交の施灸と自宅施灸の指導。
 
【生活養生アドバイス】
冷えに注意し、衣食住を整える。
子宮に優しい環境を!
 
【経過】
2月〇日 妊娠32週と1日。
頭位確認。
母子手帳では経過に問題なし。
引き続き自宅施灸をしていただく。

【状況】
1月〇日 初回。
年齢32才、第4子、妊娠28週。
 
【施術】
三陰交の施灸と自宅施灸の指導。
 
【生活養生アドバイス】
子宮に優しい環境を作るため、冷えに注意し、衣食住を整える。
 
【経過】
1月〇日 妊娠30週と1日。
頭位確認。
母子手帳では経過に問題なし。
引き続き自宅施灸をしていただく。

【状況】
1月〇日 初回。年齢31才、第1子、妊娠30週。
一か月前から逆子。子宮口、子宮頚管は異常なし。
張り止め1日3回。逆子体操はお腹の張りが強いのでやらない方がよい。
ドクターより、「自宅でゴロゴロして下さい」と安静を指示され、さらに「胎児は右回転をさせるよう」指導を受けている。
施術についてはドクターから許可を頂いている。
 
【施術(1回目)】
三陰交の施灸と自宅施灸の指導(カマヤミニの練習、施灸時間など)。
 
【生活養生アドバイス】
安静について理解できているかを確認。
衣食住の整え方、特に下半身の保温についてアドバイス。
次回の妊婦健診の時、まだ逆子だったらドクターに以下を確認してもらう。

  1. 胎位
  2. 胎向
  3. 臍帯(臍帯巻絡について)
  4. 羊水量

 
【経過】
妊娠31週と3日。
1月〇日の妊婦健診ではまだ逆子とのこと。
ドクターからの情報

  • 第1骨盤位
  • 臍帯巻絡については確認できず
  • 羊水は多くはない
  • 子宮も大きくはない

引き続き、張り止めは出ており、安静と右下で寝るように指示されている。
次回健診は2月〇日。
 
【施術(2回目)】
三陰交(9壮)、至陰(1壮)の点灸。
自宅施灸の指導(三陰交・至陰にカマヤミニ1)。
 
【生活養生アドバイス】

  • 生活の見直し(下半身の保温と安静について)
  • 自宅施灸後はリラックスし、ドクターから指示のあった側を下にして横向きに寝る。
  • 出来るだけ子宮の圧迫をさける。

【状況】
2月〇日 初回。
年齢30才、第1子、妊娠32週と5日。
子供相手の仕事。あと2週間で産休へ入る。
 
【症状】
現在、「逆子」で、夕方にはお腹がパンパン・カチカチになり、非常につらい。
母子手帳の内容は問題なし。
 
【施術】

  • 産院からの指示を確認
  • 三陰交・至陰の施灸
  • 自宅施灸の練習と施灸時間について

 
【生活・養生のアドバイス】
衣食住

  • 衣の見直し(下半身は締め付けず、保温する)
  • 食の見直し(体重のコントロールと減塩)
  • 住の見直し(お腹の張りについて、仕事以外は休息をとる。家事を工夫する)

 
【経過】
33週と4日。
施術から6日後の妊婦健診にて「逆子が戻っていました」と連絡あり。
引き続き、自宅施灸と生活のアドバイスを行う。
次回は出産準備の体づくりのため、37週の妊婦健診後に施術を行う予定。


 

★妊婦さんへ施術する際の注意点
来院・出張施術に関わらず、母子手帳の確認・聞き取りをしっかり行い、「どんな妊娠経過であるか」を知る。
 
 
★自宅施灸を指導する場合
鍼灸師の責任において、以下を行って下さい。
灸点をしっかり「つける」
自分で施灸できるように指導する
 
 


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